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キングの「ガンスリンガー」

 2003年に全7巻を書き上げて、1巻の「ガンスリンガー」を改定した、と前書きにいいわけめいた序文を付け加えています。

 ガンスリンガーは好きな巻ではありませんし、いや以前から訳わからんものとして、角川書店での単行本で読んで以来、新潮文庫でのものは読み返した記憶がありません。

 あらためて、最後の部分を開いてみると、

 当初の池氏の訳でですが


 黒衣の男は塔の使者で、その主人の名はマーリン、そしてさらにその上に位置するものが「獣」とあります。

 で、改訂版の風間氏の訳では

 黒衣の男は塔の使者で、その主人の名はレギオン、その上の人の名は答えない、


 となっています。

 うそをついたかもしれない黒衣の男の発言ですから、深読みしなくともいいのかもしれませんが、「ゴルゴタ」といい、イメージの流用が目立っていて、不快きわまりません。

 不快といえば、えてしてキング作品では、配偶者には冷ややかで、息子、娘には盲目的な愛情を注ぐ、という設定が多くて、自分はそこが好きなわけですが、この「ガンスリンガー」では、ジェイク少年を見殺しにしてしまう、、、というおはなしも気に入りません。

 キングは好きな作家だし、「デッド・ゾーン」、「ファイアスターター」、「It」、「シャイニング」あたりの流れは今でも好きです。でも、こうまでしてこの「暗黒の塔ダークタワー)」の肩入れする意味がわかりません。