本の小口、天、地のシミ退治 その２

　まずは二冊目の本の小口でテストしてみました。紙の色がベージュなので、水彩絵の具の白に茶色を少々と黄色を少々混ぜて、紙の色と同じ色を作ります。そして小口に湿り気を帯びた程度に塗ると、みごとに当初の色に近い仕上がりになりました。漂白剤の使用は経年変化がこわいですし、棒やすりでごしごしこするようなしあげにはしたくありません。

　で三冊目での本番です。まずベンジンを使って全体をきれいにします。次に作った色をうすめにしてシミ跡にかるくにじませて乾かしていきます。幸いにも汚れは1mm程度の深さしかありませんので、処理の跡もそう目立ちません。処理してはにじみを乾かしてまた処理する、この繰り返しでほぼ一週間、ほぼ完ぺきに消えました。

　カビによる茶変したしみと異なって、本の虫が作ったしみは絵具を吸い込んで色が変化するようです。そして最後に仕上げに全体に薄く色塗って終わりです。ほぼ新品同様になりました。とはいってもこの苦労を考えると、安いものやありふれているものは、買いなおした方が安心です。入手難でかつ高価なものにだけ労力をかけたほうがいいと思います。